学生取材しました!

「幸せのその先へ」T&Gが描く未来とサステナビリティ

ヒルサイドクラブ迎賓館札幌(テイクアンドギヴ・ニーズ)サービス業(他に分類されないもの)

公開:

SDGs目標

  • 3. すべての人に健康と福祉を
  • 5. ジェンダー平等を実現しよう
  • 8. 働きがいも 経済成長も
  • 10. 人や国の不平等をなくそう
  • 12. つくる責任 つかう責任

 現在、結婚式の中でもサステナブルな取り組みが実施されていることはご存じですか?
 結婚式といえば、きれいなドレスや、きれいな花、温かい家族… まさかサステナブルな取り組みがたくさんあるなんて思いもしませんよね?
 今回は従来のウェディング業界の慣習にとらわれず、時代に沿った新たな取り組みを行っているテイクアンドギヴ‧ニーズ(以下T&G) を取材してきました。

企業として現代の性の多様性に向き合う

 突然ですが「プライド月間」というものをご存知でしょうか。プライド月間とは、6月のLGBTQ+の権利啓発や多様性を祝う期間を指した言葉です。
 T&Gはウェディング企業として、同性婚‧LGBTQ+支援の取り組みを行っています。社内の意識も高く、多様性についての講義の受講率は8割を超えているそうです。プライド月間に合わせて作成し社員に配布しているというステッカーの色のグラデーションは、性のグラデーションを表しているそうです。
 T&Gの取り組みでのキーワードは「Friendly」と「Ally」です。Friendlyは友好的。Allyは味方‧助けるという意味があります。大手の企業などはAllyを強制的に推進する事が多くあるとの事ですがT&GではFriendlyでもAllyでも、どのスタンスを取るかはその人の自由だとおっしゃっていました。「思う、考える、興味を持つそれ自体がAllyへの一歩」ともおっしゃっていました。
 このように、今回の取材は、現代の性の多様性について企業がどのような取り組みを行っているのかを学ぶことが出来た機会でした。

実際に全社員に配布されたステッカー

女性活躍を支える支援

 T&Gは従業員数(1725名)に対しての男女比は6:4で、女性従業員の多い企業です。そのため、T&Gでは女性特有の健康課題に対するサポートをする福利厚生施策である『Femself BOX』を導入しています。「Femself」とはfemale(女性)とself(自身)を組み合わせた造語であり、『Femself BOX』とはたくさんの物が入った箱から欲しいものを選ぶように、様々な支援の中から自分に合った支援を選択し、女性が自分自身のキャリアと向き合うことを後押しする施策です。
 内容としては、オンラインピル費用の半額負担、卵子凍結費用の補助、診療クーポン提供など多岐にわたります。そのような取り組みを行う根源の考えとして、「キャリアを自分で選べるように」「女性だけ大事な時に自分の意思とは関係なしに辛いのは平等じゃない」などの考えがあるそうです。こういった取り組みの成果は役員構成にも表れており、2名の女性が役員を務めているとのことで、女性が活躍できる環境が実現できていると感じました。

障がいがある人もそうでない人も、全ての人が自分らしく活躍できる

  皆さん、障害者雇用エクセレントカンパニー賞というものがあるのを知っていますか?私は今回の取材を通して初めて知りました。この賞は、障がい者の方の能力開発や処遇改善などを積極的に行い、東京都障害者雇用優良取り組み企業に選定された企業に贈られるものです。
 T&Gでは知的障がいのある社員が都内の結婚式場の清掃を担当しています。一般的な平均法定雇用率が2.5%なのに対し、T&Gでは全雇用の約3%を重度障害者の方が占めており、平均勤務年数も10年と長く働き続けていることが分かります。このような素晴らしい数字を残せているのは、障がいのある社員一人ひとりと丁寧に向き合っていることが一番大きな理由だと言えます。社員旅行には障がいのある社員も全員が参加したというお話もしてくださいました。とてもいい雰囲気だということがお話を聞いていて伝わってきて、素敵でした。

料理も景色も特別に

  結婚式での食事は大事なものの一つです。T&Gでは、例えば北海道出身と愛知出身のカップルの場合、それぞれの出身地の食材を使って料理を作ったりしているというお話を聞き、こんなにも手が込んでいるのだと驚きました。取材時にシェフに私たちの出身地を伝えると、たくさんのメニューの中から私たちの地元が産地となっている食材をすぐに紹介していただけました。全員地元は違いますがどの地方の食材も使っていたことから、北海道の食材をたくさん調べてお客様一人ひとりに合わせた丁寧な対応をされていると思いましたし、これは簡単にできることではないと感じました。
 また、今回お伺いしたヒルサイドクラブ迎賓館札幌は、周りを自然豊かな木々に囲まれているため、緑を背景に綺麗なドレスとタキシードがとても映えます。誰が見ても感動する風景となっています。

「幸せもめぐる。だから、幸せをつくる。」というコンセプトを掲げ

 T&Gでは、結婚式で使われた資材をただ再利用するのではなく、新たな価値を持つアイテムに生まれ変わらせる「アップサイクル」に力を入れています。
 例えば、式場で使われたお花をドライフラワーにしてアロマキャンドルにリメイク。さらにこれらの花材を使って「アップサイクルサシェ(香り袋)」も制作しています。役目を終えた花を華やかなアイテムに生まれ変わらせ、再び世の中へ届けています。もう一つの取り組みは、アップサイクルドレス。何度もレンタルされ、廃棄される予定のウェディングドレスやタキシードからまだ使用できる美しいパーツを組みわせて制作するドレスにも力を入れています。
 単なる再利用ではなく「ストーリーのある新しい価値」を生み出すのがT&Gらしさです。

T&Gが生み出す、めぐるサイクル

 華やかなイメージがある結婚式ですが、その裏ではエネルギーの大量消費やフードロス、ゴミの排出といった環境負荷が発生するという課題もあります。T&Gでは結婚式の運営を通して、環境負荷の少ない仕組みづくりを進めています。
 その中でも、廃棄物回収とCO2排出削減の取り組みが印象的でした。例えば、コロナ禍に使用したアクリルパーテーションや不要となったグラスなどを回収し、コースターやサンドアートの材料にアップサイクルを行いました。この取り組みは式場のスタッフからの提言がきっかけだったそうですが、 2024年の廃棄物回収量は約18.9トン、CO2排出削減量は6.4トンと、環境負荷の軽減に貢献しています。アップサイクルされてできたコースターやキーホルダーが 「おしゃれ」で「ワクワクする」デザインであることも、サステナブルな取り組みを広げていくうえで大切なポイントだということも教えていただきました。
 もう一つ注目した取り組みは、持続可能な航空燃料(SAF)製造の支援です。SAFとは、廃油や植物由来の原料などからつくられる、次世代のジェット燃料。従来の航空燃料と比べて、最大で80%のCO2排出を削減できるとされています。2024年度は全国の結婚式場での使用済み食用油約1.9トンを回収し、資源として提供。T&Gは、「結婚式で使った油が、空を飛ぶ力になる」という新しいサイクルを実現しています。

アクリルパーテーションを使ったコースターなど

~取材を通じて~

 今回T&Gを取材させていただき、結婚式場のイメージが変わりました。私は結婚式に行ったことがないため、「ウェディングドレスを着て、美味しいものを食べる幸せな日」という簡単なイメージしか湧いていませんでした。しかし、取材を通じてたくさんお話を伺う中で、本当であれば捨ててしまう花を再利用したり、食事もカップルのそれぞれの出身地の食材を使ったりなど、私達が見えていないところで色々なことを考えてくださっているのだとわかりました。取材が終わる頃には、「スタッフとカップルが一体となって作り上げるもの」なんだと深く考えさせられました。T&Gで式を挙げる方は、間違いなく一生思い出に残る素敵な一日を過ごせると思います。(滝沢)
 はじめは結婚式場とSDGsが全く結びつきませんでした。でも想像していた以上にたくさんの取り組みを行っていることがわかりました!廃棄されるはずだったものを、もう一度生き返らせ、かわいく、おしゃれに生まれ変わらせる。それが環境のためにもなっているということが本当にすごいと思いました。この取り組みがたくさんの人に届いてほしいです。(中道)
 結婚式に参列しただけでは分からない企業の取り組み、スタッフの皆さんが心がけていることなど、キラキラして見える結婚式の裏側で社会課題に対してのたくさんの努力を知ることが出来ました。高校生の時からSDGsに関して調べたりする活動はしてきましたが、実際に企業が取り組んでいることを、取り組んでいる方たち本人から聞けたことは初めてだったため深く印象に残り、今後の就職活動にも役立つとても充実した時間でした。(中山)

集合写真

【札幌商工会議所付属専門学校 下段左から中山、滝沢、中道】