学生取材しました!

見えない安心を作る 環境の縁の下の力持ち

株式会社公清企業サービス業(他に分類されないもの)

公開:

SDGs目標

  • 12. つくる責任 つかう責任
  • 11. 住み続けられるまちづくりを
  • 13. 気候変動に具体的な対策を
  • 14. 海の豊かさを守ろう
  • 15. 陸の豊かさも守ろう

 株式会社公清企業のスローガンは、「必要と言いきれる仕事」です。日々人々の暮らしを支えながら、快適な地域社会を守るために様々な環境問題の活動を行っています。
 その取り組みは表に出ることが少なく、みなさんにとってイメージしづらいものだと思います。しかし私たちの暮らしには必要不可欠で、なくてはならないものだと今回の取材を通して知ることができました。
 そんな公清企業は一体どのような活動を行うことによって、人々の生活を守っているのでしょうか? 

増加する紙おむつ廃棄に挑む~10年以内の分別導入で未来の札幌を変える~

 皆さん、紙おむつはどのように廃棄していますか?
 現在札幌市では、紙おむつは可燃ごみとして処理されるのが一般的です。しかし紙おむつには実は多くの良質でリサイクル可能な素材が使われており、単なるごみとして扱うのは非常にもったいないのです。
 例えばおむつに使用されている紙は高品質なものが多く、不織布やプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン)など肌に触れても安心な素材も含まれています。さらに水分を吸収する吸水ポリマーも含まれており、これらの複合素材が主に紙おむつを構成しています。
 しかしそれゆえに分別や再資源化が難しく、燃やそうとしても水分が多いため、燃えにくいという課題もあります。吸水ポリマーは特に処理が難しく、焼却炉に負担をかけてしまうことから、実は大きな環境問題の一因にもなっています。
 さらに今後、札幌市はますます高齢化が進み、紙おむつの使用量も増加することが予想されます。だからこそ10年以内に紙おむつの分別・再資源化を可能にする仕組みを整えるために、公清企業は2025年の6月に石狩市に完成した紙おむつリサイクルセンターから本格的に試験運用を始め、持続可能な未来の街づくりに社会貢献しているのです。

    公清八十嶋さん
紙おむつリサイクルセンター(2025年6月新設)を取材  見学の進行をしてくださった八十嶋さん。ありがとうございました!!

「ごみ」から「資源」へ 紙おむつ再生の軌跡

 私たちは紙おむつの処理について、実際にその様子を見るまでは具体的なイメージを持つことができませんでした。しかし意外にもその処理方法は近未来的で、想像以上に効率的かつ衛生的なものでした。そんな使用済紙おむつの分別からリサイクルまでの工程をご紹介していきます。
 まず、クリタサムズシステム(KS-3)と呼ばれる使用済紙おむつの分別・処理に特化した機械システムに紙おむつを袋のまま投入します。毎度袋を破って機械に紙おむつを入れる工程が不要なため、衛生面も安全であり、作業者への負担も大きく軽減されます。その後自動的に袋が破れ、紙おむつの処理が開始されます。するとアルカリ性の強い薬剤(クリミックス)・給水・蒸気ボイラーなどが連動して稼働し、「消毒→洗浄→分別→乾燥」という工程が行われていきます。

 処理にかかる時間は一回につき約90分で、1台で処理できる量は一日4tです。公清企業にはこの機械が2台あるため、一日に8tの紙おむつを処理することができます。完了すると、手前からはプラスチックだけが排出されます。

プラスチックが排出されている様子


 出てきたプラスチックは細かく粉砕し、熱と押し固める力を利用して、最終的に棒のような形にします。一方紙は給水された水に溶けて、排水層に出されその水ごと脱水機に入れて最終的に紙を絞り出しています。プラスチックと紙はこの時点で臭いもせず、触ることもできました。
 公清企業はこの二つの再生資源を今後のリサイクルに役立てたいと考えており、例えばプラスチックは公園のベンチなどのウッドデッキに、紙は必要不可欠な段ボールに再生することを視野に入れているとのことでした。
 このように、今はただ廃棄しているだけの紙おむつを今後色々なリサイクル方法に役立てることが可能となってきています。

利益よりも社会貢献を第一に

 通常、企業はどのようにして・どれだけ利益を出すのか考えると思います。リサイクルをする企業ではそもそも利益を出すことがとても難しく、公清企業もその一つで、これらの費用をリサイクル事業で賄うのは困難です。
 しかし、公清企業は利益よりも社会貢献に注力しています。
 「我々がもっと社会貢献できるようになるためには、リサイクルされたものを皆さんが使う意識が広がることが大切です」と、福田社長は語ります。今よりも世の中の人がリサイクルという思考が身につくよう努力していかないといけません。
 利益を出すことが難しい事業でも辞めることなく更に高みを目指し、儲かることではなく社会貢献を第一に考えるという覚悟が“必要と言い切れる仕事”を支えているのだと感じました。

リサイクルだけじゃない、公清企業の多様な環境活動

 公清企業が取り組んでいるのは、紙おむつのリサイクルだけではありません。 実は、石膏ボードの再資源化や、土壌・水の中にある見えない有害物質の分析といった、環境を守るためのさまざまな活動も行っています。
 たとえば石膏ボードは、濡れてしまうと硫化水素という有害なガスが出てしまう可能性があるため、昔はそのまま埋め立てられていました。でも今では、札幌市で出る石膏ボードの一部は、再資源化されて新しい資材として生まれ変わっています。これによって、ゴミを減らすだけでなく、埋め立て処理の停止や有毒ガスの発生防止にもつながっています。
 また、地中に埋められた廃棄物や流れ出た成分によって、地下水や土が汚れてしまうこともあります。目では見えなくても、昔使われていた缶や薬品などが原因になることもあるので、土や水の状態をしっかり調べていく作業がとても大切です。 最近では、マイクロプラスチックなど、さらに小さな汚染物質にも注目しながら、環境を守る取り組みを続けています。
 決して派手な仕事ではないけれど、私たちの今と未来の生活を支えてくれていることから、公清企業が取り組む仕事は、まさに「必要と言いきれる仕事」だと思いました。

公清企業が主に行っている事業

取材を通して

 最初はどんな企業なのか想像もつかなくて難しい企業なのかなと思っていたけれど実際に取材をしてみて、シンプルだけど簡単にはできない作業と覚悟が知れました。表に出ることは少なく裏で地域の人たちの生活を支えているかっこいい公清企業を知ることができてよかったしこの記事を通してたくさんの人に知ってもらいたいと思いました。(藤原)
 今回の企業訪問を通して、実際に見なければおむつのリサイクルにここまで手間のかかる作業があると知れなかったと思います。実際に見て体験することが大切だとわかりました。他のごみのリサイクルも複雑な手順があると考えると自分たちも手助けになれるようにごみの分別などできるだけのことをしようと思いました。 (島)
 訪問前は、紙おむつのリサイクルがどう行われているか、正直あまり想像がつきませんでした。でも実際に工場を見学し、話を聞く中で、公清企業の仕事は「見えないけれど、とても大切なこと」を支えていると強く感じました。リサイクルや土壌・水質の分析など、暮らしの安心を支える仕事がたくさんありました。「必要と言いきれる仕事」というスローガンの意味も、現場を見ることでより深く伝わってきました。自分自身も、何気ない日常がこうした仕事によって成り立っていることに気づかされ、視野が広がったように思います。これからは身近な環境問題にも目を向けて、自分にできる分別など少しずつでも実践していきたいです。 (近藤)
 今回、公清企業への企業訪問を通して、現状の環境問題やそのために社会貢献に深く関わる仕事の重要性を改めて実感しました。特に今回訪問させていただいた紙おむつのリサイクル事業についての説明は印象的で、これまで捨てるだけだと思っていた紙おむつが適切な処理によって再利用の可能性を持っていることに驚きました。また社員の皆さんが誇りをもって仕事に取り組む姿勢からは、働く意義や責任感の大切さも学ぶことができました。この訪問のおかげで自分にとってもプラスになったと感じています。 (岩本)

取材にご協力いただいた皆様(上段左から福田様、鳴海様、相沢様、中段左から山本様、今野様、八十嶋様)

【札幌商工会議所付属専門学校 下段左から島、近藤、岩本、藤原】

【札幌商工会議所付属専門学校 下段左から島、近藤、岩本、藤原】